Wednesday, August 24, 2011

夏を惜しみつつ食べるイタリアン・アイス:タルトゥーフォ/Tartufo

Tartufo


8月も後半になり、ゆっくりとではあるが確実に日が短くなってくると、なぜこうも気持ちがソワソワし始めるのであろうか。カナダでは、ノースリーブの服が活躍する時期はあっという間に終わる。自転車で走りまわれる時期も長くはない。そんな短いカナダの夏を惜しむかのように、夕食後から日没までの間、そぞろ歩きにでかける人たちも少なくない。歩くだけでは物足りない人たちのように、私もそぞろ歩きにアイスクリームを組み合わせることがある。

イタリア系人口の多いトロント市内には、伝説的なジェラテリアが何軒もあり、今の時期、夕方の込み具合といったら半端じゃない。あのフレッシュなイタリアン・ジェラートの味を知ると、アメリカのアイスが欺瞞に思えてくる。アイスの発祥地イタリアのアイスとしては、もうひとつ有名なボール型のタルトゥーフォがある。

タルトゥーフォ。まずは、この単語をイタリア人が言うように発音してみようではないか。「タル」の部分はリズミカルなスタッカートで、「トゥー」はちょっとやりすぎかなあ、と思うほどアクセントを置きながら延ばし、最後の「フォ」の部分は、水面上に上がってきた小さな泡が静かに消える様を想像しながらキュッと小さく結ぶのである。タルトゥーフォ。まごうことなきイタリアンですな。

アイスを半分に割ってみると、外見からは判断できない3層構造が現われる。真ん中のバニラアイスを包むようにチョコレートアイスが層をつくり、表面には苦味のあるココアパウダーがまぶしてある。この3層構造が何とも絶妙な味のハーモニーを産み出すタルトゥーフォは、世界三大珍味のひとつフランス語「トリュフ」のイタリア語にあたる言葉で、イタリア人アイスクリーム職人がトリュフの形を模して生み出したものだとか。濃い目のコーヒーとあわせると最高においしい。トロントでは、ジェラテリアはもちろん、イタリア料理店ではデザートメニューのひとつとして置かれているほか、スーパーなどでも手に入る。

トロントで食べるイタリアの味タルトゥーフォ(字余り)。

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