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Tuesday, August 16, 2011

ポーランド産のコーヒー代用品ドリンク: クラクス 

クラクス/Krakus


思えば、私とコーヒーの付き合いは紆余曲折を経て、現在、クラクスへと落ち着いた、と言うことができよう。

以前は、毎日のように学食喫茶で軽く3杯はコーヒーを飲んでいた私も、いつしか世界中でコーヒーが搾取的資本主義、あるいはアンチ・グローバライゼーションの代名詞となってくると、それまでのようにふんぞり返ってコーヒーを飲んでいられなくなった。

「私たちが飲んでいる1杯2ドルのコーヒーのうち、コーヒー栽培者の手に入るのはわずか2セント」(ドキュメンタリー「ブラック・コーヒー」より引用)という言葉には、目を見開かれる思いがしたものだ。つまり、残りの利益はネッスル(いつもやり玉にあげて御免!)をはじめとする巨大企業のポケットにまるごと入ってゆくのである。さらに、コーヒー輸入国および生産国の対比は、南北問題を象徴しているかのように、「輸入国(アメリカなどの先進諸国)VS. 生産国(南米やアフリカ諸国などの発展途上国)」という構図を作り上げる(ちなみに日本は輸入国3位)。それで、少し高くても栽培者に公正な利益が還元される「フェア・トレード(公正取引)」システムもでき、私もしばらくはこういったコーヒーを飲んでいた。

一方では、年を重ねるにつれ、健康に対する配慮もでてくる。ひどい偏頭痛持ちなので、神経系に直接関係がありそうなポリフェノールやタンニンの入ったコーヒーに疑惑の視線を注ぎ(素人知識なのだけれどね)、同時にコーヒーに関する科学的データのはなはだしい矛盾が気になり始めた(例:コーヒーは心臓発作の原因となると聞いた数ヶ月後には、肝臓病の予防に効果があると聞く)。

そして、チェコに暮らした経験のあるケベック人ジュリーとの出会いが、私をクラクスへと導くのである!「東ヨーロッパにはコーヒー代用品なるものがあるのよ」。見た目はインスタント・コーヒーだが、原材料は焙煎した大麦、ライ麦、チコリ、ビーツの根…と健康によさそうなものばかり。焙煎した味も滋味ゆたかで、おまけにカフェイン・フリー。「コーヒーをやめたしと思いつつやめられず(字余り)」といった人だけのものにしておくのは、もったいないドリンクだわと、日々、愛飲している。

ネーミングにグッときたね: バターミルク/Butter Milk

ワオ。このネーミングには、乳製品に目がない私は参ったね。バターのごとくに濃厚なミルクなのか?あるいは、味覚糖の「バター飴」のような甘いミルクなのか?

日本でよく読んでいた(けれど、作っていたわけではない)洋書の料理本には、よく「バターミルク」が材料として挙げられていた。どんなものか分からないまま、想像だけが膨らんでいたある日、アメリカの料理本に「手に入らない場合は、牛乳に酢を混ぜたもので代用できます」とあるのを読んで、まさかと思ったものだ。牛乳に酢ですか? でも、名前が…。

カナダに来てはじめて夫の両親の家に行ったとき、冷蔵庫のなかにバターミルクを見つけた。義父に味を尋ねると、「ヨーグルト・ドリンクみたいな感じだね」と言う。グラスのなかにぼってりと注がれる濃厚なミルクは、見るからにおいしそう。はじめて口に含んだバターミルクは、想像していた味とは違い、すっぱかった。「ちょっと、これ、くさっていませんか?」と聞きたいところだったが、「牛乳に酢を混ぜたもので代用できる」のなら、この味で間違いなかろう、と思い直した。

しかし、何かとてもなつかしいのはなぜ? ふと思い出したら、私が大学生のときによくやっていた、ビフィダス・ヨーグルトと生協牛乳を混ぜ合わせたドリンクと、ほとんど同じ味ではないか。(ちょっと個人的過ぎましたね、)分かりやすく言うと、甘さのない「のむヨーグルト」を濃厚にした感じとでも言おうか。

それもそのはず、原料は「牛乳、塩、バクテリア」。ヨーグルトの原料が牛乳とバクテリアであることを考えれば、なんだ、やっぱり私のと同じじゃない。義父によれば、牛乳を攪拌してバターを作る時にできるのがバターミルクらしい。

「バター飴」の幻想をキッパリ捨て、ヨーグルト・ドリンクだと思って飲みはじめると、このうえもなく爽やかな風味にはまってしまった。パッケージに書いてあるようにカロリーはゼロだしね。さらに、マフィンやバナナケーキ、パンケーキといったお菓子作りに用いると、まろやかな味に仕上がって重宝する。

すっぱくて濃厚なバターミルク。今では私にとって必携のドリンクである。ただし、比較的味にこだわりのない夫が絶対に手をつけないことから察するに、好き嫌いがハッキリ分かれることも付け加えておこう。